外国籍の方のお部屋探しは難しい?
令和6年6月末時点での東京都の統計によると、都内の外国人居住者数は約70.2万人。
こんなに多くの海外からの方が都内に住んでいるんですね。
10年ほど不動産業界で勤務している身からすると、以前に比べても日本語を母国語としない外国籍の方の受け入れ相談可能な物件が増えている印象です。
それでもなかなか入居相談が難しいこともあり、初めて日本で賃貸物件を借りる方は戸惑うことも多いかと思います。
そこで今回は、そういった外国籍の方、とくに「日本語を母国語としない外国籍の方」が賃貸物件を借りるのがなぜ難しいのか?
その背景や対応方法などを知っていただくことで、よりスムーズに都内で賃貸物件を探していただけるようになれると嬉しいです。
(日本語で書いているので、母国語の翻訳アプリなどを使ってみてください)
結論: 貸主側の最終判断による
さて、最初に結論から言ってしまうと、日本在住者・国籍問わずどのような物件でも同じことではありますが、実際に入居できるかは物件のオーナーや管理会社による審査結果と最終判断によって決まります。
ざっくり言うと「賃貸借契約を結んでも問題なさそうか」というところ。
いや、それならこの話はここで終了では...となりそうですが、
この「問題なさそうか」というポイントがまず前提にあることをどうかご理解を。
この前提をもとに、もう少し掘り下げていきたいと思います。
外国籍はなぜ難しいといわれるのか?
「外国籍の方は審査が難しい」というお話は不動産賃貸業界では今も昔もよく聞かれますが、そもそも何故?と思われる方が一定数いらっしゃると思います。
全ての外国籍の方が難しいというわけではなく、
借り手側の内容(学校・就業先)や、その方の言語能力、日本文化に対しての理解度などで物件が借りられるのかが大きく変わってくる印象です。
「何で日本ってこんなに借りるのが難しいんだ!?」と思ってしまいがちですが、いくつか考えられる理由があります。
以下、オーナー・管理会社側の懸念点としてよく挙げられるポイントです。
懸念1.コミュニケーションが取れるのか
やはり、一番に挙げられるのが「コミュニケーション問題」・「日本語能力の有無」。
入居審査では収入面に加えて、こちらの要素が大きく関わってきます。
オーナーさん・管理会社側の視点で捉えると、入居後に何かあった際の説明やトラブル発生時の対応などの際に言語が理解できないというのが一番困ってしまいます。
N1〜N3程度の日本語能力がある方ですと、契約内容の説明を受けていただいても理解いただけることが多いですし、入居相談・審査に対してのアドバンテージは高めな印象です。
ただし、「ちょっとくらいなら喋れます」という方の場合は、
契約内容を日本語で説明した際にどうしても理解いただけないこともあったり、それによってコミュニケーションに咀嚼が生じてしまい、
中には入居後や解約時のトラブルにつながってしまうケースもあったりします。
特に入居後は物件に関してのお知らせ・注意喚起などの文章を理解できる能力や、
会話能力がないと即時の対応や改善依頼が伝わりにくく、そういった理解能力が低いと判断される場合は申込み時点で入居相談のお断りをされてしまうケースが多いのが実情です。
あわせて、都内の賃貸物件ではオーナーさんが同じ建物に住んでいるケースや、
物件をオーナーさん自身で管理しているケースもよくあり、入居者との距離が身近なため、日常的にコミュニケーションを求められる機会が多いです。
また、日本の法律では賃借人側の居住権保護が強く、例えば何か問題が起こった際に貸主側から「○月○日までに退去してください」というような勧告がすぐにしづらいのも理由の一つです。
懸念2.音信不通にならないか
何らかの事情があり、母国へ帰ったまま音信不通になってしまうというリスクを懸念するオーナーさんも居ます。
国内に身内の緊急連絡先や連帯保証人がある日本人と異なり、本人へ直接連絡が取れなくなってしまうかもというリスクや、
その後の対応(解約手続き・お部屋の中の残置物の撤去など)について困難になってしまうので、敬遠されてしまうことがあります。
懸念3.文化の違い
貸し手側が、借り手側の国や文化にどういうイメージを持っているかにもよりますが、
住まいやライフスタイルに対しての考え方、文化や習慣って国々それぞれで違いますよね。
それらが時に入居中にトラブルになったりしないかを心配されることもあります。
パーティをして騒いだりしないか、きちんとゴミ出しの曜日やルールを守ってくれるのかなど、
日本国内やその地域、建物のルールをきちんとリスペクトして守っていただけそうかというところも事前に確認されることがあります(これは日本人・日本在住者の方々も同じですが)。
外国籍の方が入居しやすくなるためには
それでは、日本に来たばかりの方や日本語能力がまだ低い方は物件を借りることはできないのか、というと決してそうではありません。
まだ来日したばかりの方や日本語能力がまだ低いという方の場合は、
- 日本国内の緊急連絡先として、日本人の知人あらかじめ確保しておく (有事の際の対応面から、物件の近くに住んでいると望ましい)
- 契約時、入居中、解約時や何かあった際には、その緊急連絡先に通訳をしてもらえるよう事前に確約を得る
- お勤めの方であれば、法人契約が可能かを就労先に相談する
- 母国語での対応が可能な物件を探してもらう
というような方法でお部屋探し、入居相談ができることがあります。
また「懸念2」でお話している内容については日本国内の緊急連絡先を用意していただくことや
保証会社の利用、場合によっては連帯保証人を用意いただくことで相談に乗ってくれるケースもあります。
「懸念3」についてはこれもケースバイケースですが、
その方の日本での在住歴や人柄を総合的に判断してもらえれば、相談に乗ってもらえる場合もあります。
まずはご相談ください!
入居相談や入居審査については確定的な答えはないのですが、結局のところ信頼できそうか、入居後は良好な関係を構築できそうかという点が大きく作用しています。
外国籍の方でも相談可能な物件はまだまだ限られるものの、IEYAでは入居後の注意点など事前説明を丁寧におこない、オーナーさん・管理会社側の懸念点も払拭していただけるよう、住まいに関わる方々を良い方向へ繋げられるか、貸し手側と借り手側の橋渡しができたら良いなと思いながら物件探しをさせていただいています。
お部屋探しでお悩みの方はご相談を承りますので一度お問い合わせください。